文化財の概要
江川家は、中世以来の在地領主の系譜を引き、江戸時代のほぼ全期間旗本として韮山代官を世襲した。現在伊豆の国市韮山に所在する江川文庫には、江川家から引き継がれた中世以来の膨大な資料が保管されている。
静岡県は文化庁の指導の下、平成14年度からこれらの資料調査を実施した。
この調査によって、古文書や書籍、書画、焼き物、武器や武具といった多岐に渡る、
極めて重要な資料が保存されていることが明らかになった。
本資料群は幕府代官として備えておくべき公文書が中心で、地域の歴史と地域と幕府の結びつきを知る上でも貴重な資料である。
特に、幕末、諸外国からの開国圧力が強まる中で収集され、使用された文書や洋書・訳書、図面、銃砲・台場の模型、測量器具などは、江川家が積極的に海防や西洋技術の導入に取り組んでいたことを示す。
指定理由
多くの収蔵品の中でも、特に重要な約38,570点が一括して重要文化財に指定される。これらは、江川家の歴史はもとより、幕府代官所の職務や支配の実態を知る上での貴重な基礎資料である。加えて江戸時代後期から幕末維新期の資料の中には、日本の政治・軍事・外交史研究上非常に重要なものが含まれる。
今回重文指定された史料
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