現在の江川邸は東側の平地部分と西側の天神山からなり、平地部分は東西約150m、南北約200m、直角三角形の形状を示す敷地となっています。
邸内には敷地のほぼ中央に位置する主屋を中心に、表門、書院、東蔵をはじめ5棟の蔵が立ち並んでいます。
内庭には池があり、その南西方向には韮山竹の群生が見られ、「明奉社」の社も鎮座しています。
裏山の天神山には「鎮守社」と接して「稲荷社」、南西に「疱瘡(ほうそう)神」、頂上部には「紅龍稲荷」があり、下って石鳥居の脇には道祖神が祀られています。これらは重要文化財指定の物とともに邸内の歴史的環境の形成に役割を果たしております。
版画 森英二郎
国指定重要文化財「江川家住宅(江川邸)」は、その江川家の住宅で、韮山役所は、その敷地内に設けられていました。1600年頃に建てられたもので、部分的には、より古い中世の建築部材も使われており、改築や増築が加えられ現在に至っています。ちょうな(手斧、釿)の跡が残る部材もあります。
ぜひ主屋の土間に立ち、上を見上げ、ぜひ大屋根の豪壮な架構をご覧になってください。
江川家住宅は、江戸時代後期には、江川英龍の父である英毅により、玄関部分の改築や書院の整備が行われ、旗本家の威容が整えられました。主屋に入ると50坪(約162㎡)という広さの土間があり、竃(かまど)が据えられています。現在、この竃(かまど)に火が入るのは、「具足開き(1月初め)」と「お会式(11月中旬)」の時など数えるほどです。4月12日のパンの記念日に因んで、パン祖のパンを再現して焼く時にも使用しています。